最近観た映画。(2019年6月〜)
観散らかした42本の映画の感想を書き散らかす記事です。気づいたら一万字を超えていました。
受験生にしては観過ぎかな?まあ志望校受かってやりますけどね(THE BIG MOUTH)。
まず、映画館で観た全7作品。
☆取り表は4点満点です。
『アナと世界の終わり』(☆3)
まず、タイクツな日常から非日常へ激変するミュージカルシーンにぶっ飛んだ。墓場のミュージカルシーン、主人公アナとボーイフレンドがなかなか同一カットに入ってくれない不安を煽る編集。周りにゾンビがいるのに、同じカットに中々映ってくれない。安心できない。画面では陽気に歌いながらも、いやな空気や後の展開を予期させる見事な演出。
嫌な演出が終盤にもう一つ。アナの元カレ・ニックはダチを連れて、バットを振り回して、「ゾンビ退治じゃクラスイチだぜ!」と歌い上げる陰惨な世界で陽気に活躍するキャラクターです。最高に馬鹿っぽい。しかし、まさにそのバットで彼が何をしたのかが明らかになる。むごい事実がいきなり浮上する嫌〜で、切ないシーンでした。
キャラクターでいうとサラ・スワイヤー演じるステフが好きでした。
終始最悪だった悪役の教頭も溜飲が下がる伏線回収が待っていてカタルシスがあった。ああいうのは好きにならざるを得ない。
そして車に乗るラストもダウナーな趣。残ったメンバー、冷えた空気、ラストのラストの観客へのお土産もまた粋なものです。悲しんで怖がって、でも筋が通った「青春ミュージカル」として成立している。おかしいとこはおかしいけれど、きちんとドラマチックな映画でした。
あと、どうってことない文句ですけどスマホが無いと生きていけない空虚さ.....みたいな"イマドキな"人物描写が飲み込みづらいよね。悪かったな、空っぽで。
『町田くんの世界』(☆4)
記憶に残る映画になりました。というのも、僕の親戚が本作の製作に関わっているのです。親戚の名前がエンドクレジットに載っている、すごい!
という私情を抜きにしても記憶に残る映画だった。
ヒロインである不登校の猪原 奈々(関水 渚)。母親は"ゲス不倫"がスクープされたアナウンサー。学校でも噂され彼女は塞ぎ込んでしまっている。そこにズカズカと入り込むのがお人好しの主人公・町田 一(細田 佳央太)。彼女は彼に好意を抱く。
中盤、この二人の雨降る川辺での会話が何よりも記憶に残った。晴れより雨が好きだという猪原。「外に出なくてもいいよって許される気がするから」(うろ覚え)、彼女の環境と、鬱積した心情がひしひしと伝わる台詞。そんな彼女に町田は何も言わずに傘をさしてあげる。猪原は(気恥ずかしさから?)町田の親切を突き放し、傘から出て雨に打たれる。町田は傘をさして追う。雨が降る世界の中で彼女の居場所を作ろうとする。それでも猪原は離れる。それでも町田は傘をさす。雨降る川辺での二人の追いかけっこが始まる。猪原の"雨"論、町田の寓話的な親切心。端的な台詞と、アクションで二人のキャラクターを描く見事なシーンだった。
終盤でも川辺の追いかけっこの印象的な長回しがあったのと「雨」という言葉が再度町田の台詞に出てきますが、その意味の膨らませ方も秀逸で唸りました。
他にも、猪原に想いを寄せる西野(太賀)のグッドガイっぷり、人の善意を信じられない週刊誌記者(池松 壮亮)と町田が出会う終盤のシーンもよかった。クライマックスのリアリティラインの急降下もこれはこれで記憶に残りますから、映画としてはいいでしょう。アレくらいの"嘘"をついてなんぼですよ。そもそも町田の存在がでっかい嘘なわけですから。
最後に、ファッションモデルの氷室(岩田 剛典)の名ゼリフ。町田のおかげで、自分の本当の居場所を見つけたことを一発で分からせる最高のセリフ。
これはいい映画。みんな観て!
『スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム』(☆4)
大傑作『エンドゲーム』で十分よくやってくれたし、前作『ホームカミング』くらいに楽しめたら十分十分、そんなぬるたい気持で鑑賞したら、とんでもない、マーベルスタジオをナメ過ぎてました。MCUベスト級の傑作を観てしまいました。
笑えて泣けるジュブナイルでありながら、グラングランとこちら側を揺さぶるノワール的な恐怖、恐怖、恐怖。勿論、エンドゲーム以後のヒーロー映画でもある。新世代のヒーロー、スパイダーマンが鉄の意志を継承する姿は涙を流して見守るしかなかったんですよ...。
メインヴィランもMCUベスト級。我々を驚愕させまくる。中盤から終盤、最後の最後まで、映画を観ていてこんなに驚かされることあるんでしょうか。『エンドゲーム』の後にこれってですよ。MCU怖い。フェーズ4も凄いことになりそうで楽しみです。
『凪待ち』(☆3)
硬派な一本でした。特筆すべきはなんといっても主人公 郁男を演じた香取慎吾の体現力、画力(えぢから)、説得力。激昂してのたうち回る巨体。同情を誘うが時に神経を逆撫でる上擦った声。腐り切った現実を睨む眠たい目と、ふにゃっとした口元。確実に何かが欠け、脆く、暗い。
そんな彼を苦しませるギャンブル依存症描写も恐ろしい。小さな町にポツンと居座る競輪のノミ屋の裏社会が怖かった。義父から貰った50万円で買って当てた郁男の"サブロク"のノミ券を、ヤクザが飲み込んでしまうシーン。白昼、容赦なく太陽が照りつける下の圧倒的理不尽さの堪え難いことといったら....。
このシーンに続く、縁日での乱闘騒ぎワンカットも見事。酔っ払った香取慎吾の巨体が暴れまくる!にしても暴れ方が下手くそ。地元の若いお兄ちゃんにボコボコにされてしまう。郁男という男は本当に不器用で、猪突猛進しかし進む方向がまるで間違っている男だ。
脇を固める恒松祐里、リリー・フランキー、宮崎吐夢、黒田大輔のゲロ...役者陣がよかった。皆言ってますけど、アレ級のゲロは後にも先にも観れないんじゃないかな....。ベストゲロ映画です。
『トイ・ストーリー4』(☆2)
『トイ・ストーリー』シリーズを小さい時から観ている....、訳ではなく。人生の一本という訳でもなう。小さい時に観たっきり。薄情なことを言うと、「嗚呼、やはり僕は『LEGO®ムービー』の人間なんだなあ」と確認する為に観たようなものでした。この鑑賞態度はひどいかな。
けど、十分楽しかったです。何より笑えましたし、ウッディの"最後の決断"に至る過程も、思い返すとちゃんと描いていた。その二つの要素を担うのが今作のフォーキーですよね。彼が出てくるだけで笑いが起こる序盤、そして彼こそがボニーの大切なオモチャだとわかってしまっているウッディの健気なこと。
他にも魅力的なオモチャが沢山。いいじゃないですか、トイ・ストーリー。いいと思いますよ。(投げやり)
『天気の子』(☆4)
比較論はどうかと思いますけど、『君の名は。』より好きです!!!
鑑賞後、小説版買って、一瞬で読んでしまった。この物語はかなり好き。ビビっとくるものがある。
端的に言えば、ジュブナイルが好きだって事だろう。青春恋愛よりジュブナイルが好き。今作、中盤終盤の帆高・陽菜・凪の逃避行が始まってからはもう、どきどきでした。オレ対大人の図式。
その構図が色濃くなってからのラブホ。ジュブナイルの中でのセーフハウスとしてのラブホでのひと時。あれは名シーンだったでしょ。
また作品を体現する食描写も素晴らしい。ビッグマック、ポテチチャーハン、カップ焼きそばに、"お店より美味しい"アルデンテなインスタントラーメン。それが、”今までで一番美味しかった食事”。どれも美味しいし、絵で観るとめちゃくちゃ美味しそうですよ。けど、そこに見えるのは若者の貧困。東京という世界の中の貧困。この作品を大事にしたいというか、登場人物たちを抱きしめてやりたくなったポイントです。
この世界は、一人の少年に「 僕たちになにも足さず、僕たちからなにも引かないでください。神さま、どうか、どうか。」とまで言わせる。銃を向け、引き金を引かせまでする。少年の世界と大人への飽くなき反抗。廃ビルで大人たちに追い詰められても尚、拳銃を大人たちに向け続け、リーゼントにねじ伏せられても平泉成が立ち塞がっても陽菜を取り戻そうとする帆高の姿に泣いてしまった....。
....という気持だったので須賀はおろか、夏美にも感情移入の余地が全くなかった。鑑賞中の僕には圧倒的な帆高・陽菜・凪へのシンパシーが溢れてた。愛すべきキャラクターになっていた。つまり、『天気の子』は17才高校生の僕の映画である!"好き"の気持を強く刺激する一本です。
『アルキメデスの大戦』(☆2)
ムービーウォッチメンに釣られて鑑賞。山崎貴監督作品はどれも未見で、正直フィルモグラフィーを比較して...みたいな評価はできないんですけどね。比較がこの作品の醍醐味のはずなのに。
正直、そんな、好きじゃない。菅田将暉演じる主人公が好きになれない。軽い演技も、台詞も、まるでダメでした。「測らずにはいられないのだ!」「数学的におかしいはずなのに....!」。
ただクライマックスの会議シーンのグルーヴ感からのラストの大ツイスト、これは評価しないといけない。田中泯、お見事。
ここからは自宅鑑賞。TSUTAYAでレンタルすることを覚えました。全35作品。
『ウォールフラワー』(☆2)
「エマ・ワトソンとエズラ・ミラーみたい高校3年生いるかよ!」とか、野暮なことも思ったり。主人公が自分より年下の青春映画を観てしまったのはすこしショックだったり。
ぼんやりとした感想しか浮かんできませんが、本筋には関係ないけど一番好きなシーンをお教えします。主人公チャーリーがクリスマス・プレゼントを買うべく父親に30ドルをねだるシーン
「あの、30ドルくれないかな」
「20ドル?10ドルなんて何に使うんだ」自然な値下げがよい。
「クリスマスのプレゼント交換で....」
「....(50ドルを渡す」
これですよ、超うれしい要素が全部詰まってる。クリスマス、プレゼント、父親からの予想外の20ドル。最高のシーンですよね、アガりました。
『ファイト・クラブ』(☆2)
今年公開のある映画の関連作品として鑑賞。あの展開は知っていましたが、演出だったり、画で改めて語り直されるとそれでも驚いちゃうし笑っちゃいます。
『美少女戦士セーラームーン Super S』(☆2)
セーラームーン好きの友人の流れにのって鑑賞。いいシーンはありましたが、文章を書けるほどの熱はない。
『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(☆2)
不憫なトム・クルーズ。ラストショットに代表されるカラッとした雰囲気が心地よい。ループ感もギャグも超グルーヴィ(特に前半)
『スモールフット』(☆2)
これにてフィル・ロード&クリストファー・ミラー関連作品は(日本公開作品に限り)全て観終わりました!相変わらずユーモアセンスがいい。風刺はいつもより強めです。
にしても、僕はストーンキーパーは然るべき罰を受けるべきではないか、と納得できないでいます。娘を守るためにストーン(=古い考え)を投げ捨てたけど、彼がやってきた事は全く褒められたものでないですし、最低でも説明責任を果たすべきですよ。なのにラストはニコニコしながら主人公の側に立ってる....。まあ、どうでもいいのかなぁ?
結構おもしろかったな〜!ってなったのは覚えてる。J・K・シモンズも良かったのは覚えてる。(J・K・シモンズはいつだって良い)。
『トリプル・フロンティア』のラストもですけど、どうしてこの手の映画は大金を自ら手放すのでしょうか。(大金浪費のウハウハを悪気ない感じで描いてくれた『運び屋』は最高。)
『ミッション・インポッシブル:ローグ・ミッション』(☆2)
渋いテイストの中、必死の顔で走り回るトム、トム、トム。いいですね。ヘルメットくらいはしてくれないかな。
『コードネーム:プリンス』(☆1)
所謂〈ナメてた相手が実は殺人マシーンでしたモノ〉(©ギンティ小林)の映画。結構いいとこまで来てたのにラストの展開で大きなクエスチョンマークが。主人公、ここで死ぬべき人間だよね...?劇中、敵役のブルース・ウィリスが全然悪事を働いてないから観客の「殺してOK」サインは全然出てない。なのに、妻子を殺してウィリスも殺すって、何何何こわいんだけど。
『ザ・シューター 極大射程』(☆1)
すみません、全く内容覚えてません。ラストの雪山のスナイパー合戦はよかった。
『猿の惑星』(☆2)
あの頑迷な猿どもは本当に嫌だね...。宗教裁判のシーンは腸が煮えくり返りそうになったなあ、あの猿野郎めが...。結末のあのショットは知ってたが、十分楽しめた。面白い物語を考えつくものですね。アイディア一発の作品でも面白かった。
『ダイ・ハード』(☆2)
単純に面白いアクション映画だった。不謹慎かつハラハラ(ブルース・ウィリスがどんな馬鹿をするのか)。ラストの落とし前を一気につけていくのも鑑賞後の気持ちがよくなる。
『未知との遭遇』(☆3)
宇多丸さんオススメの特別篇で鑑賞。テレレレレ〜。
第三種と遭遇する高揚と緊張感が入り混じるエモーションが集約し高まり、無論映像的にも、更に音楽的にも圧巻のクライマックス、これがスピルバーグというやつですか。
いやしかし、あの鍵盤弾いてた人はどういう人生を送ってきたんだろう。研究所に勤めてたら上司が「君、ピアノを習ってたんだって?実はこういう計画があって....」みたいなやつなのかな。それとも、ピアニストをスカウトしてきたのかなあ。「宇宙人とピアノを使ってコミュニケーション?そんな馬鹿な話を.... .....本当、なんですか?」みたいな?これが透明な批評ってやつです。
『3時10分、決断のとき』(☆3)
『LOGAN』が結構好きなので、じゃあジェームズ・マンゴールド監督作を観てみよう。西部劇も『マグニフィセント・セブン』しか観たことないし、ということで鑑賞。
なかなか良い”二人の父親”モノ。「せめて俺に尊厳を...」と懇願するクリスチャン・ベールの儚い表情、そしてラストのラッセル・クロウの早撃ちに漢泣きしました。ド渋で男臭い映画ですなあ。
『ダークナイト』(☆3)
ジョーカー以外にピンと来なかった。所謂 ”『ダークナイト』以降” の作品群に先に触れ過ぎていたのかと推測。『LEGO®バットマン・ザ・ムービー』を先に観てるんですから、中々濃厚でシリアスなブロマンスですなあフムフムって鑑賞態度が出来上がってしまっていた。
敵役ジョーカーは間違いなく最高でした。何をしでかすのかわからず怖かった。あと、やたらIMAX画角でビルの空撮が挟み込まれるのがちょっと面白かったですね。
『ピラニア3D』(☆3)
こういうモンスターパニックを観ないんですけど、その理由が分かった気がする。人が意味もなく死んでいるとエクスタシーより先に不快感が勝ってしまうのだと思う。
勿論「ヴァイオレンスはお下劣、低俗、ヒューマンドラマで涙する方が人間的で豊か!」なんてこと微塵も思ってませんが、どうしてもヴァイオレンスのエクスタシーに不感症気味。肉体破壊がある度に、その場その場で熱が上がって楽しめてはいるが、作品全体を振り返ると微妙な差で不快感が勝ってしまう。
ただ、この作品、絶対に評価するポイントがあります。
「気になってる女友達とポルノ(?)の撮影に立ち会ってる」ってシチュエーションですよ!ああ、羨ましい。いや、けしからん。私も水着姿の女友達のカラダに注いだ酒を舐めたいのに。けしからんぞ、けしからん。
『プレデター』(☆2)
『ザ・プレデター』を観たかったので予習として鑑賞。特に思うところ無く鑑賞終了...。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』(☆2)
評判が頗る良いので鑑賞。"ナき"を堪能するつもりがそんなに心を動かされなかった。野原ひろしの回想シーンだってノスタルジーじゃないか...(歪曲された過去でなく実際のひろしが生きた過去であるという違いがあるのは重々承知しているがすんなり飲み込める回想ではなかった)
最近の「80‘sのなんちゃらでなんとか」みたいな流れに僕がノレてないのと相まって、アイディア一発の作品としては評価しますよ。
『ジャンゴ 繋がれざる者』(☆3)
最近の西部劇を観てみよう2本目。ジェイミー・フォックス演じる賞金稼ぎがめちゃくちゃカッコいい。速撃ちアコガレは高まるばかりです。
純映画的な魅力みたいなものがあるのは確かです。しかし文才値がゼロなので形容できないんです。
『怒りを我らに』(☆2)
高校の授業で鑑賞。主演はダース・ヴェイダーの声優も務めるジェームズ・アール・ジョーンズ。しかし、日本語吹替版、少し残念。
キング牧師登場以前、黒人牧師ヴァーノン・ジョーンズが差別を内面化してしまい、白人警官の横暴を見て見ぬふりをする黒人に説教を行いムーブメントを起こそうとするお話。つまるところ公民権運動の黎明期です。
今年3月に観た『ブラック・クランズマン』を思い出しながら観ていました。出会い方含め、印象的だった。
『マルコムX』(☆3)
『ブラック・クランズマン』、『怒りを我らに』を観たのだから次はこれだと思い、鑑賞。3時間の長尺は不安でしたが杞憂に終わりました。エンドゲーム3回観た人間が何を言っているのかって話かもしれませんが。
3時間を飽きさせないのはスパイク・リーの演出力とストーリーテリング力、そしてデンゼル・ワシントン力によるものでしょうか。非行青年から刑務所での改宗、属していた組織への失望、後ろ盾が次第になくなっていく焦燥感。
『くまのプーさん』(☆2)
宇多丸の映画評目当てに鑑賞。ちょっとたまには癒やされ系の映画を観たかったのです。しっかし、おかしな映画でした。宇多さんの言う通り、「不憫で可愛い」。これに尽きます。
『SPY スパイ』(☆3)
愉快なアクションコメディ。ふくよか、自己評価低めな主人公・スーザン。スパイ組織の”イスの人”だった彼女が現場復帰する話。正当な評価を受けずにいた女性主人公が男性中心の世界で奮起するというフェミニズム的な文脈で、なかなか抜けのいい映画でした。ラストの小ネタ回収の決着も見事!
『WALL-E』(☆4)
傑作でした。まずウォーリーが「不憫で可愛い」。彼の可愛さ、健気さ、愛らしさ。忘れ去られた廃棄物だらけの地球での日常を細やかで丁寧な描写や映像表現の豊かさ。”空気”が確かにそこにあるような映像、美しい。ピンボケ表現は『トイ・ストーリー4』でも驚いたが、08年の時点で出来上がってたとは。関係ないことですが、序盤、ゴキブリに愛情を寄せるチューニングに少々てこずりました。
しかしこの映画、なんといっても『2001年宇宙の旅』オマージュ/パロディが強烈だった。最高のギャグであり最高のクライマックス、文脈に沿った最高のオマージュ。アホかと思いながら号泣、素晴らしい瞬間だった。こういうシーンに出会うために映画観てる気がする。
そんな感動に満たされながら、人類の芸術史総決算エンドロールにまたまた仰天。こういうのには弱いんだよ!(PIXARはこの芸術史の延長線上にあるのだと言いたげですよね、事実だと思いますが)
傑作だった。観てよかった!
『言の葉の庭』(☆3)
学校サボり常習犯(最近は更生)のアンセム・ムービー。これはいい映画を観た。
と思いながら鑑賞していたんですが、ラストのセリフのやりとりでおいおい泣く展開で感情を突き放されました。うーん、どうしてああなったんだろうと思いつつ、序盤中盤はかなり僕好みだったので評価が下がることはない。
『雲の向こう、約束の場所』(☆1)
全くノレませんでした。主題、設定の提示がなかなか進まない+下手な印象。キャラクターも感情移入できなかった。新海誠作品を全作観たわけではありませんが、キャラクターの魅力は近年の3作がぶっちぎりなんでしょうかね。キャラデザに加え、声優の力が大きいのかな。好きではありませんでしたー。
『コップ・カー』(☆2)
「銃に不慣れな奴が銃を持ってるシーン」「車を運転しているシーン」は次の瞬間、突然の事故が起こる確率が高いじゃないですか。観客をビクーっとさせるような演出とか、苦手なんですよ僕は。車を運転している様子を車内からのカットで撮っていると、次の交差点でトラックが突っ込んでくるんじゃないかとヒヤヒヤするんです。ジャンルがヒューマンドラマであれ....。(映画好き初期に観た『セッション』の影響がデカい)
それと、『マルコムX』でもロシアンルーレットのシーンが長い尺でありましたね...嫌だったあのシーン....。
そういう僕からすると二人のガキが銃で遊びながらパトカーを運転する映画なんて言語道断。ケヴィン・ベーコンがどうこう関係なくヒヤヒヤしっぱなしの1時間半。勿論ケヴィン・ベーコンもよかったです。車泥棒するくだりとかやたら長くておかしかった。
とりあえずジョン・ワッツ監督お見事。
『イディオクラシー』(☆2)
別名『26世紀青年』。アイディア一発モノとして馬鹿ながらも鋭い風刺が効いている良作だった。ラストの大統領演説「本を読みなさい!」に触発され、最近は本屋に通って新書を買って読んで、もうすぐ10冊目。人にアクションを起こさせる時点でいい映画というものだ。
『チャッピー』(☆2)
メタファーセンサービンビンで観たので、劇中人物が「あ、このギャングとチャッピーは荒れた家庭のメタファーだな...」「エンジニアとチャッピーの関係は創造主である神と人間の創造のメタファーだな...」って認識してるのか気になってしまう。絶対気づいてるでしょ。そうしたらもはやコントなのでは。『スモールフット』や『猿の惑星』もメタファーマシマシでこの問題にぶちあたり困惑した。
チャッピーかわいいからOKだと思う。サグなロボットがハイクオリティで観れるだけでOK。見たことのないものを見せてくれただけでOK。ラストもちょっとキモいけどアリ。キモい映画でした。
『トゥーム・レイダー ファースト・ミッション』(☆2)
フィル・ロード&クリストファー・ミラーの監督予定作『アルテミス』予習として鑑賞。本作の脚本ジェニーバ・ロバートソン=ドワレットが起用された。
アクション大作ですから、家のモニタで観た故の微妙さはあった。アリシア・ヴィキャンデルと弓矢ツルハシアクションはよかったけど、「謎解き」のお粗末さは何ですかね。ロジックのロの字もない描写でがっかりですよ。
ただ、『アルテミス』との共通点であるところの「娘と父」の物語はよかったんじゃないですかね。そこまで感動してはないですが、及第点レベルではある。『アルテミス』は面白くしてくれよ頼む~!!!
『ミッション・インポッシブル:フォールアウト』(☆3)
トム・クルーズすごい。かっこいい。それ以外に何が必要だと言うのか。度を越したアクションのつるべ打ち最高だ。
『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』(☆4)
傑作だった。前作はあまりノレなかった。エミリー・ブラント演じる主人公の俯瞰・傍観・諦念が合わなかった。あれはあれで味があるのは理解できるが。
けれど本作は桁違いだった。ゴリゴリでいなたくてクール。『LOGAN』を彷彿とさせるから、という訳ではないけれどアレハンドロとイサベラの逃亡ロードムービーがまず僕好みだった。この2人に対するマットの葛藤も渋い。それとアレハンドロと少年の物語が交差する瞬間のスリル。ヨハン・ヨハンソン作曲のテーマ「The Beast」も最高だ。予想外の終わり方も見事。いやあ、映画館で観ればよかった。
『ザ・プレデター』(☆3)
シェーン・ブラックは本当にいい感じの面白い映画撮りますね。 『ナイスガイズ!』で心をすっかり掴まれてしまった。ちゃんと一作目『プレデター』を予習して鑑賞に臨んだ。偉い。
観ていて楽しかったなあ。特段ルーニーズが好きとか、80年代アクションが好きとか、不謹慎ギャグが好きとかではないけれど全体的にめちゃ好きです。『ナイスガイズ!』を3回観返したように、本作も何回も観返したい。すれば、評価が上がるだろう。これからも愛したい1本。
『ドライヴ』(☆2)
中学生の時に観てたらヤバかったかもしれない。溢れ染み出る影響力の塊。特に文句もないけど、ガンガン評価してしまったら何かが狂い始めて楊枝を咥え始めてしまうのではないかという恐怖で☆2をつけました。オスカー・アイザックとライアン・ゴズリングはいつだって最高。
『エリート・スクワッド 〜ブラジル特殊部隊BOPE〜』(☆3)
友達に勧められて鑑賞。まるで知らない作品だったが、勧めるのも納得できる面白さだった。しかもこれ続編じゃん!(前作『エリート・スクワッド』は2008年のベルリン国際映画祭で金熊賞獲っているっていうんで観てみたい)
特殊部隊のアクションを堪能できるというより政治劇として面白い映画だった。ブラジルの議員・軍警察の汚職、それを告発すべく奮闘する議員・新聞記者、軍警察から公安局に昇格した主人公が腐敗の内情を目の当たりにして愕然とする。
”市場”として搾取されるスラムを舞台にしたポリティカルアクション。こういう映画もあるんだ、こういう世界もあるんだ。未知の世界を見せてくれるだけで映画を観た甲斐があるってものです。
『アメリ』(☆2)
なめてかかってたんですけど思ったより面白くてちょっとイラついてます。少し好きなところがないわけでもないし。先日、近所に開店したタピオカ屋でタピオカを飲んでみたんですけど思ったより美味しかったんですよ。それと同じメカニズムのイラっとした感じですよね。何かに迎合してしまったけど、別段いやというわけでもない。ナレーションがいい、アメリがかわいらしい、それで終わり。
と、いう感じでした。2019年豊作ですね。観たい過去作も増える一方で困りました。夏休みもあと僅か、しばし勉強に集中しようかな?けど月末にワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドが公開か。観なきゃ。