『スパイダーバース』と『運び屋』
どうも、映画館で観た映画が(特に)面白かったので記事にしようと思い立ち、キーボードをカタカタ打っています。どちらも☆4つです。(当ブログの採点方式は四つ星採点)
『スパイダーマン:スパイダーバース』
フィル・ロード&クリストファー・ミラー製作、フィル・ロード脚本、共同監督の一人にピーター・ラムジー。海の向こう側からの賞賛の声もすさまじい!間違いない!
と、期待値を爆上げして、先行上映で鑑賞。学年末試験の初日の放課後でしたが、我慢できるはずがない!しかし、第一印象は期待を下回るという感想…。鑑賞1回目がIMAX3D字幕というのも良くなかったかもしれない。眼鏡をかけてる人間なので3Dグラスは窮屈、興奮と重ね着の体温でレンズが曇り、字幕を追うのにいっぱいいっぱいで映像美を味わい尽くせなかったのです。うーん、残念でした。
というのは本当に残念過ぎるので、公開初日に吹替2Dでリトライ鑑賞。小野賢章マイルス、悠木碧グウェン、大塚明夫ノワール最高。二度目のギャグも吹替で楽しめました。映像も楽しめました。TK from凛として時雨の吹替版主題歌は楽しめませんでした。
アカデミー賞アニメーション部門受賞は納得でした。それは1回目の鑑賞で感じました。単純かつハイコンテクストな物語。馴染みやすく、けど今まで観たことがない映像。乱れ打ちドラム・グルーヴィーベース・鬼スクラッチみたいなサントラが入り込んでくるあたりも最高ですし、HIP-HOP国歌「アパッチ」を流すのもやばいです。普遍的なヒーロー論でありながら、スパイダーマンとはいったい何なのかを真面目に誠実に語てみせるメッセージ性の高さもさすがです。
主人公のマイルス役にシャメイク・ムーアをあてたのも大正解だと思います。『ゲットダウン』のクールなDJではなく、『DOPE ドープ!!』の90年代HIP-HOPオタク高校生のイメージに近いですよね。大音量のヘッドホンで音楽聞きながら うろおぼえの歌を歌うギャグとかそれっぽくて、いい。思春期のティーンエイジャーサイコー!
あと、アニメーションに欠かせない個々のキャラクターの良さも見事でした。ひとりひとり語っていきたいけど語彙と時間が足りないので短めに。
マイルスは新世代ヤングヒーローとして、同世代の僕が親しみと憧れを自然に抱ける見事なキャラクターでした。
ピーターは「子供も悪くないな!」のセリフだけでもう5億点あげてます。
グウェンは同世代の僕が好きになる見事なキャラクターです。スパイダーグウェンとして初登場するシーンがかっこよすぎます。
ノワールは別れのセリフが妙にぐっときます。モノクロの次元に戻っても、マイルスの次元で手に入れたモノ・視点・価値観が生き続けていくんだと思うと、涙が…。
ペニーとSP//drは「かわいいって騒がれてるけど、日系のスパイダーマンが女子高校生とロボットってステレオタイプじゃない?」とか思ってたんだけど、かわいいのは確かです。
スパイダーハムはハマれませんでした。残念。
キングピンはキャラデザが大好き。いくらなんでもでか過ぎ。ボールペンをカチカチしまくるのもよい。
他のヴィラン達、小ネタ、裏庭の秘密基地、新スパイダーマン誕生シーケンスのぶちあがり感、クライマックスの反復台詞等々…いろいろあるけれど、結論としては「EVERY フィル&クリストファー作品 IS AWESOME」ということです。しょうもないギャグで元祖アニメスパイダーマンをBigUpする姿勢もAWESOMEなんですよね。
ただ、フィル&クリストファー印のハイテンポな物語の広げ方は90分映画で輝くのであって、2時間映画だとドラマパートがその分間延びしてるような気もします。と言っても、ドラマパートで描かれる新世代ヒーロー誕生譚、スパイダーマン論が最高なんで結果オーライで全体的に面白いです。僕はフィルとクリストファーを信じています。最高、最高。LEGO®ムービー2も期待して待ってます。
『運び屋』
アフター6ジャンクションの映画評目当てで鑑賞しました。宇多丸のファンは観る気がない映画を観ねばならぬのです。4時寝、風邪気味、薄着の状態で鑑賞。すべては宇多丸のため…、
と思いきや、観ていて全く退屈しない、超面白い映画でびっくり。いい映画を観ましたね、うれしい。
鑑賞前は知らなかったのですが、ローレンス・フィッシュバーンとマイケル・ペーニャが出てるんですよね。そりゃこの二人が出てたら確実に点数底上げっていう二人ですよ。
鑑賞中はずーーっと楽しい気分で映画を観ていました。ユーモラスな雰囲気が終始漂ってる映画だとは露も思わなかったので驚きでしたが。カーステに合わせてうろおぼえの歌を歌うシーンとか最高。
なおかつ、真面目なところはいたって真面目なのもいいです。勿論ながら、犯罪と老化のスリルがある。ブラッドリー・クーパー演じる凄腕DEA(麻薬取締局)捜査官から逃れられるのか、という追う・追われるの関係もありながら、自由奔放な運びをするアールと、システマチックにビジネスを行いたい中間管理マフィアとの対立も描かれる。家庭を顧みない人生を送ってきた主人公が、もう一度家族と向き合うドラマも全体を通して描かれる。凄腕の運び屋アール、いかれた老人アール、家庭を捨てたアールという、複数のドラマが展開していく。どれも面白い。それらを116分の尺に収め、きれいな閉じ方をしてくれる。結果、鑑賞中の幸福感と、鑑賞後の満足度の合計はかなりの高さです。
何より魅力的なのは主人公アール・ストーン。クリント・イーストウッド演じる90歳の‘‘老害カワイイ’’(©宇多丸水産) キャラクターは愛せずにはいられません。老害カワイイの何がいいって、年長者として助言や手助けをすることもあれば、老害として「お前ら若いのはググらないとなんもできないよね」とか言いながら、「あんたのおかげでメールは打てるようになったけど、数字を打つのがイマイチ…」と弱い一面も見せる。こういう、教える・教わるの立場、信頼と頼りなさがフレキシブルにスイッチするのが観ていて いいんですよね。
そういうとこでいうと、メキシコの大ボスのパーティーにお呼ばれされるシーンが一番大好きです。月間の最高運送記録を打ち破った新たな運び屋としてパーティーの主役になりながらも、なんせ90歳なのでエッチな女性とエッチエッチなことを楽しむときもヨタヨタ歩きながら、「心臓の薬、心臓の医者を呼ばないと」と情けない冗談を飛ばす。運び屋としての頂点を極めても、相も変わらぬジジイ感。たまらなくチャーミングな主人公なんです。
この映画は「いくら評価されて名声や大金を得ても、誰かと一緒にいるべき時間は買い戻せないのだ」という偉くまっとうなメッセージを届けてくれます。けれど、徹底的に拝金主義を否定しないというのも良いバランスだったと思います。僕は高校生なんでね、大人になったら、お金持ちになって浪費したいんです。『若おかみは小学生!』のグローリー水領さんみたいに買い物したいんです。そういうアマい欲望を抱いた高校生の心を否定せずに、けれど人生それだけじゃないよ、と教えてくれるいい映画でした。いい映画です。
話が飛び飛びですが、本観ていて飽きないし面白かったんです。観た後の満足度もめちゃくちゃ高いからブログで長文駄文を書いているんです。実際は「いい映画を観た。」の一言に尽きます!
以上『スパイダーマン:スパイダーバース』『運び屋』の感想でした。今月中に続編公開予習的な、『LEGO®ムービー』の記事を上げる予定です。映画を観るのが楽しくなってきた今日この頃。4月になれば高校3年生。大学受験の勉強を始めねばなりません…。では…。